マトリックス4 (レザレクションズ) が観てもチンプンカンプンだった or これから観る方へ
映画『マトリックス3』公開から約19年、満を持して公開された『レザレクションズ』(以下分かりやすく4と表記します)
1の公開当時まだ中学生だった自分には、仮想現実という設定や、アノ銃弾避けるシーンが厨二心に刺さりまくりでした。
まだギックリ腰の心配が無い若い男子は「マトリックスごっご」しまくってたし、
ニコニコ動画全盛期、今では考えられないネットの力を集結した「マトリックスオフ」なんてのもありました。
そんなキアヌと共に歳を取ったと言っても過言ではない自分は、4の公開を心待ちにしていた。
ところがいざ公開されて見ると、(他の国ではどうかは知らないが)日本国内では低評価の嵐。
この記事を書いている2022年2月現在、Amazon PrimeVideoの評価は★2つ以下が全体の25%、
Yahoo映画の総合評価も3.5点と、大人気シリーズの続編という割に評価が振るわない。
今回コロナの都合で映画館で鑑賞するのは諦め、アマプラで映画館よりちょっと安い料金で視聴する事に決めました。
観るまではそんなに面白くないのか??と戦々恐々としていましたが、率直に言うと
自分は面白かったです。普通に楽しめました。
寧ろ、1~3を視聴済みだったので、4が3部作の中で一番ストーリー分かりやすかった。
同時に視聴していた家族(自分と同世代)も、事前に言われているより全然面白かったと言っていました。
ただ、何故こんなに評価が低めなのかも同時に分かって来ました。
今回は、「4を見たけど内容チンプンカンプンだった」「これから4観たいけどスゲー不安」という方に向けて書いてみました。
ハッキリ言って事前の期待値と完成度が見合ってないのは事実です。
それでも、イチファンとして、これを読んでただ単に「つまらなかった」と思う方が少しだけ減ると嬉しいです。
◆残念だった点
- 【初見殺し】
- 【機械都市vs人間都市の決着かと思いきや、蓋を開けてみたら全然違った】
- 【映像技術に特に進化が見られなかった】
- 【アクションが残念・・・残念・・・】
- 【愛の力で丸め込んだように見えるラスト】
◆良い点
・マトリックス公開が10代だったド直球世代の自分には、登場人物の何人かにまた会えただけで嬉しかった
・制作陣の日本愛が伝わってきた
え、良い点これだけ?と思うかも知れませんが、そうなんです。
懐古厨の心を満たしてくれたのが、この作品の最大の価値で魅力であり、以上。
ネット上で「同窓会」と揶揄されてしまっている理由です。
モーフィアスなんて銅像観ただけで泣けてきた。
以下【残念だった点】の項目について詳しく書いて行きます。
【初見殺し】
観始めて割とすぐ思ったが、1~3を鑑賞済みで、かつ3のラストを理解していないと殆どの人はポカーンな内容だった。
その為、ファン勢は楽しめるが、4をいきなり観てもある程度大丈夫だろうと思った人は「一体何を観させられているんだろう・・・」という気持ちになる。
レビューサイトでは「同窓会」「内輪の自己満足」「4は駄作になる法則の典型」等ボロクソに言われてしまっている。
監督はSNS等で事前に「本作は新作ではなくキアヌと一緒に歳を重ねてくれた完全なるファン向けの続編。1~3をしっかり使用した上での鑑賞を強く勧めます」
とアナウンスしておけば、また評価は違ったかも知れない。
【機械都市vs人間都市の決着かと思いきや、蓋を開けてみたら全然違った】
これも↑の初見殺しと繋がって来るんですが、
大前提として、映画「マトリックスシリーズ」は残された人類に希望を与える話ではないです。
現代の地球は我々人類がコントロールしている(ように見える)ように、作中の世界はAIが支配しています。
機械都市の電池のコスパの研究・改善が世界のベースにあり、同時に人類との共存をテーマにしている。
そう、あくまで共存世界なんです。
約束のネバーランドみたいに、残された人類を助けて機械都市と大戦争して文明を取り戻すのが目的の話じゃないんです。
ザイオンにいる人類というのは、より効率の良い人間電池開発の為に、マトリックス内の人間と比較対照する為の研究材料みたいなもん。
(あと機械都市で目覚めてしまった異端者を放り込んで置く場所)
ここを履き違えて生き残った人類目線で物語を観てしまうと、「なんで機械都市に宣戦布告しないんだよ!」「なんでいきなり機械が一部仲間になってるんだよ」という蟠りが起こる。
まぁ3であんだけドンパチやってたら、続編でもそういった絵面を期待するのは仕方ないとも思います。
ここで3つの世界の関係をざっくり整理してみましょう。
①マトリックス内で戦争や環境汚染、その他の事象により人類は破滅に向かい世界が不安になる
②マトリックスの不安定に伴い、機械都市の人間電池の効率が段々悪くなってくる
③救世主制度が発動してマトリックス内の預言者がそれとなーく救世主を機械都市に誘導する
④リブート準備が始まる
救世主はデウス・エクス・マキナの元で、
より質の良い電池用人間の研究の為にザイオンを捨てる(ザイオン残しておくと反乱の恐れがあるので)or、機械もザイオンもどっちもリセットするかを選択する
え、なにそれ両方の良いとこどり出来ないの?と思うかも知れないが、これはAIが最良の為に曖昧な選択をする事が出来ない性質があるからです。
曖昧が選べないのは、世界が何度も失敗している要因でもあります。
(現代でも、AIはいくらディープラーニングを繰り返しても曖昧の概念を理解するのは難しいと言われています)
この2つの選択ではザイオンはどちらも破壊される為、救世主が目覚めた時点でリブート準備としてセンチネルがザイオンを襲う事になってる。
3のセンチネル襲撃はザイオンが見付かってしまったから襲われたんじゃなくて、単なるリセット用プログラム。
でもキアヌは違った。
「トリニティが生きていた世界を消すのなんて嫌!!」
とは言ってないけど、ザイオンを消したくなかった。
ちょうど機械都市はマトリックスのエージェント・スミスの暴走にほとほと困っていたので、
キアヌはスミスの暴走を止める代わりに、ザイオンを残して欲しい & 自分の身も新電池として捧げるよ と交渉した。
デウスからすると「え、そんな前代未聞な事言われても困るよ・・・」と最初なったけど、
「曖昧な選択をする未知のデメリット」よりも「メリット」が上回ったと判断。
交渉成立によってセンチネルの攻撃がピタリと止まり、
マトリックスのみリセット。
新しいマトリックスは代々救世主の記憶をベースに再構築されるので、
ネオはトリニティが観たがってた美しい空をマトリックスに構築。
空と陽が差し込む公園の映像が流れる。
ここまでが3のラスト。
・ザイオンは破壊されなかった事と、新しいマトリックス世界は前任の救世主の記憶が反映される事を理解していないと、
4からいきなり見始めてもポカーンとしてしまうのだ。
あと抑えておいて欲しいのが、前作でネオがトリニティのお腹から銃弾を取り出す際に、救世主のコードが一部、トリニティの体内に入り込んだ事。
同じくネオのコードの一部を体内に入れたエージェント・スミスがめちゃめちゃ強く覚醒するシーンもありました。
先天的に救世主のコードを持っているネオに対して、トリニティは後天的に救世主のコードを体内に入れています。
これが分かってないと4のオチがいきなりトンデモ展開に感じてしまう要因になります。
これらを理解した上で4を見ると、
序盤も別にパラレルワールドの話ではなく、ネオの記憶がベースになった新マトリックス世界なんだとすぐ分かるし、
アンダーソンの精神がおかしくなっていく様子も「あ、リブートの予兆なんだな」って分かる。
赤の他人設定だけどトリニティが存在している事もキアヌの記憶から作られたんだと思えばすんなり受け入れられる。
(死んだはずのトリニティが存在している本当の理由は別にあるのだが、これは作中の終盤で明らかになる)
※余談ですが、マトリックス世界でキアヌがラーメンを食べているのもファンサービスですね。
キアヌの日本のラーメン大好きエピソードはググればすぐ出てくきます。
【映像技術に特に進化が見られなかった】
マトリックスといえば、公開時点での最新の映像技術をふんだんに使用しているが売りの一つでもあり、ファンが観たがっている物の一つなんです。
残念ながら今回は記憶に強く残るようなシーンが一つもなく、全体的に派手さに欠けています。
(それでも映像が十分凄い事には変わりないですが。)
ただ今はゲームでも派手なアクションや美しい演出が当たり前のようにあり、我々観る側がそれらに慣れてしまったのも否めず、映像美に目新しさが感じられませんでした。
あと(キャラクター名忘れてしまいましたが)、新スミスの時間を超越する描写もなんかな~と思った。
いや分かるよ、分かるんですよ。
自分のみが高速で動くと周りが止まって見えるってザ・ワールド的なチート能力なんですが、
漫画や映画では攻撃を受ける側視点(気付くと相手が瞬間移動したように見える)で描かれる事が多いですが、
攻撃する側視点で映像化するとこんなにモッサリしているのかと驚愕。
【アクションが残念・・・残念・・・】
これは仕方ないとは言え残念でした。
前マトリックス世界から60年が経過し、ネオもそれなりに歳を取っている(マトリックス内で他人から見えるネオは老人になっている設定)を踏まえても、
ネオのアクションのヨボヨボさは非常に残念だった。
銃弾を止めるシーンの動きは壁の手すり探すおじいちゃんみたいだし、
空を飛ぼうと試みて失敗するシーンは
あ、これ本気でやった結果これが限界だったんだろうなって察した
要は現実のキアヌ本人も、マトリックス内のネオも限界なのだ。
「だから救世主は別にいるんだよ」という伏線とも取れるが、監督はわざわざショボいアクションをさせる為に再度キアヌ呼んだの?
途中でアクション部分の脚本だけでも変更できなかったの?と 監督がこれでOK出した事に疑問が残る。
世界中の誰もカッコ悪いキアヌなんて見たくなかった
これに尽きる。
【愛の力で丸め込んだように見えるラスト】
トリニティ「ネオいないと嫌」
このラストは個人的には嫌いじゃいです。
勿論、何だそら!!って思った方もいるのは数多くの不評レビューで見るように分かっています。
これも前作でトリニティの体内に救世主のコードが入っている事を知っていないと、愛の力で無理やり解決したように見えてしまう。
でも途中でも言ったように、映画マトリックスって別に人類を救う話じゃないんですよ。
テーマはあくまで機械都市と人類の共存だし、そこにネオとトリニティの愛をねじ込んでみたって「世界のループの1つ」でしかない。
デウスはよりコスパの良い人間電池開発の為に、2人の愛が反映されたマトリックスや、珍しく長期間放置してるザイオンの人々の繁栄を研究し続けるでしょう。
※欲を言えば、序盤のアンダーソン君が会社員やってるシーンを10分削って、その時間をデウスとまた対峙するシーンに当てて欲しかった…
ラスト エンドロールの後、現代と何ら変わらないマトリックス4の開発会議シーンになります。
今我々がアマプラとかでマトリックス4を見ているこの世界こそが、トリニティの愛が反映された新マトリックスだとしたら・・・?
相変わらず人種差別も戦争も無くなってないし、環境問題も相変わらずだし、何か知らんが監督の性別は二人とも変わってるし
お世辞にも現代は機械都市とマトリックスが求めた恒久的な世界とは言えない。
何度繰り返しても人類は学ばないのです。
だが
だか自分は機械都市側に一言物申したい
60年もあったんだから少しは人間電池改良しろよ!!時代はSDGsだぞ!!
以上、マトリックス4(レザレクションズ)の話でした。